仕事で独立したい場合には、自分で起業するほかに企業とフランチャイズ契約や業務委託契約を結ぶという方法があります。しかし、フランチャイズと業務委託の区別がつかない人もいると思います。そこでこの記事では、フランチャイズと業務委託の違いをそれぞれのメリットやデメリットをまじえながら詳しく解説していきます。
フランチャイズと業務委託の基本的な違い
まずは、フランチャイズと業務委託の基本的な違いを解説します。
契約内容
フランチャイズと業務委託は、どちらも企業と契約を結んで業務を進めるという点では同じですが、その契約方式や内容は大きく異なります。フランチャイズは、加盟店が本部の企業の行っている事業の方法や仕組みを提供してもらって事業を展開していくというものです。そのため、本部の企業が使っている店舗名やロゴ、サービスや商品を利用できます。一方、業務委託とは、企業から委託された一部の業務を進めていくというものになります。
収入の取り扱いとかかる費用
フランチャイズと業務委託は、収入の取り扱いやかかる費用の面でも異なります。フランチャイズで得た収入は売り上げとして計上し、業務委託で得た収入は雑所得、または事業所得として計上することになります。
かかる費用については、フランチャイズでは本部の企業へ支払う加盟金やロイヤリティなどが発生する一方、業務委託では特別な費用はかからないという特徴があります。
フランチャイズと業務委託のメリットとデメリット比較
ここからは、フランチャイズと業務委託のメリットとデメリットを比較していきます。
フランチャイズのメリット
まずは、フランチャイズのメリットを3つ紹介します。1つめは、本部と同じ店舗名、サービス、商品などが利用できることです。本部のブランド力を利用できるため、開業してすぐに固定の顧客を獲得しやすいのが強みです。
2つめは、本部の企業が持つビジネスモデルをそのまま使えることです。すでに利益を出している企業のノウハウが活用できるうえに本部から多くのサポートが受けられるので、未経験の業種でも開業することや業務をスムーズに進めることが可能です。
3つめは、契約期間が長いため安心して店舗を経営できることです。平均的な契約期間は約3年から10年で、その期間は本部からのサポートを受け続けられるというメリットがあります。
フランチャイズのデメリット
ここからは、フランチャイズのデメリットを3つ紹介します。1つめは、本部のブランドによる影響を受けやすいことです。ブランド力や認知度の高さゆえ、もしも本部や他の加盟店で大きな不祥事が発生した場合にはイメージダウンにつながるリスクがあります。
2つめは、オリジナリティを出しにくいことです。店舗経営にあたっては本部のマニュアルやルールに合わせる必要があるため自由度は低いと考えましょう。また、販売できる商品も基本的には本部から提供されたもののみになります。
3つめは、加盟金や本部へのロイヤリティが必要なことと、契約期間内に廃業すると違約金がかかる可能性があることです。
業務委託のメリット
次に、業務委託のメリットを3つ紹介します。1つめは、自分の経験やスキルを活かせることです。業務委託契約では基本的に自分の得意分野を選んで業務を引き受けるので、成果も出やすいでしょう。2つめは、自由度が高いことです。
働く時間や場所は自分で選べるうえ、業務を遂行する過程についてはある程度の自由が与えられます。3つめは、請け負う分野によっては高収入を得られることです。業務委託の報酬は難易度や成果によって決まるので、専門性の高い分野や競合が少ない分野での業務は高収入につながりやすくなります。
業務委託のデメリット
ここからは、業務委託のデメリットを3つ紹介します。1つめは、依頼された業務を完遂することで報酬を受け取れるシステムのため、依頼がないと無収入になることです。そのため、業務委託契約では、営業活動と依頼者を満足させられるだけの高いスキルが必須になります。
2つめは、収入が安定しにくいことです。収入を安定させるには、業務ごとに確実に成果を出し企業からの継続依頼を受けられるようにすることが必要です。3つめは、すべてが自己責任であることです。
社会保険や雇用保険には自分で加入する必要があり、業務を遂行できない場合の責任もすべて自分にかかってきます。自由度が高い一方、強い責任感とプロ意識が求められる契約だといえるでしょう。
ビジネス展開としてはどちらがおすすめ?
では、フランチャイズと業務委託、ビジネス展開としてはどちらがおすすめなのでしょうか。それぞれにメリットとデメリットがあるのでどちらがよいとは一概にいえませんが、働き方や収入の獲得方法などから自分に合った契約方法を選ぶことが大切です。
経験が浅い分野ではフランチャイズ契約がおすすめ
経験が浅い分野や未経験の分野での開業を目指すならフランチャイズ契約がおすすめです。なぜなら、集客しやすいうえに本部からの手厚いサポートが受けられるからです。向いている業種としては、飲食店、コンビニ、学習塾、スポーツジム、クリーニング店などがあげられます。
自由度を優先させたい場合には業務委託がおすすめ
一方、働き方や業務の自由度を優先させたい場合には業務委託契約を選ぶのがおすすめです。向いている業種としては、エンジニア、ライター、デザイナー、営業職などがあげられます。
まとめ
仕事で独立するには、自分で起業するほかに企業とフランチャイズ契約や業務委託契約を結ぶという方法もあります。この記事では、いまいち区別がつきにくいフランチャイズと業務委託の違いを、それぞれのメリットやデメリットをまじえながら詳しく解説しました。
向いている業種については一部紹介しましたが、それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらのビジネス展開がおすすめとは一概にいえません。適切な判断をくだすには、自分の希望する働き方や収入の獲得方法などを明確にすることがポイントです。