清掃業務は対象となる建物をきれいにする仕事ですが、個人の住宅を対象とするハウスクリーニングと商業施設などの大規模な建物を対象とするビルクリーニングの2つに大別できます。両社は同じクリーニングですが、業務内容がかなり異なっています。何が違うのでしょうか。本記事では両者の基本的違い、作業範囲や料金の違いを解説します。
ハウスクリーニングとビルクリーニングの基本的な違い
ハウスクリーニングは住宅を対象としたクリーニングです。主に住宅の居住者である個人が事業者に依頼します。住環境を維持して生活の質を高めることが主な目的とされ、顧客の要望に従ってさまざまな清掃を行います。
住んでいる住居の清掃が多いですが、中には入退去時の清掃(原状復帰)のような依頼もあります。住宅は住んでいる人の個性により1軒ごとに特徴が異なりますので、作業に気を使います。ビルクリーニングはビルの衛生管理のために実施される清掃作業です。
ここでいうビルとは、オフィスビルやデパート、大型ショッピングモール、美術館・博物館などの大型施設のことです。ビル管理法では不特定多数が利用する建物を特定建築物とし、施設を利用する人が快適で衛生的に使用できるよう管理することを義務付けています。毎日の清掃である日常清掃に加えて6月以内に1度の頻度で定期清掃が義務付けられています。
大型施設が対象であることから、住宅ほどのバリエーションがなく、作業範囲がある程度決まっているという特徴があります。
ハウスクリーニングもビルクリーニングも、開業に必要な資格はありません。しかし、規模が大きいビルクリーニングにはビルクリーニング技能士という国家資格があります。ビル清掃の仕事をするときは国家資格であるビルクリーニング技能士が居なければなりません。
作業範囲はどれほど違うの?
清掃作業の範囲はどのくらい違うのでしょうか。ここでは両者の作業範囲について比較します。
ハウスクリーニング
ハウスクリーニングとは清掃の専門知識を持った業者がプロとして住宅内の汚れを落とすサービスのことです。自分たちではなかなか行き届かない部分の清掃を請け負ってくれます。
コンロの上にあるレンジフードは油汚れがたまりやすい部分ですが、なかなか素人では清掃しにくい場所の一つです。なぜなら、細かいパーツまで外して大がかりな清掃を行う必要があるからです。
プロであれば細かな部分の汚れまでしっかり落としてくれます。高圧洗浄機を使ったエアコン清掃やフローリングの洗浄・ワックスがけなどもプロならではの仕事といえます。ここまで徹底して清掃してくれるため、いわゆる家事代行と比べ物にならないほど専門的な仕事だとわかります。
ビルクリーニング
ビルクリーニングの作業は、日常清掃と定期清掃に区分できます。日常清掃とは日々のトイレ清掃、洗面台の清掃、ゴミ回収、床掃除、エントランス清掃などのことです。
ビルの利用者がいつも目にするのはこの日常清掃ではないでしょうか。中性洗剤を使った清掃が主流で、高所作業や特殊な機械を使った清掃はほぼ行われません。定期清掃は月に1度や年に1度のように一定の期間ごとで行われる特別な清掃のことです。ワックスがけやカーペット、エアコンの洗浄、高所ガラス清掃などが対象となります。
ハウスクリーニングとビルクリーニングの料金体系とプロセス
対象となる建物が違えば、料金体系も異なります。もちろん、作業プロセスも大きく異なっています。ここでは両者の料金体系と作業プロセスを比較します。
ハウスクリーニングの場合
ハウスクリーニングの料金は間取りによって決められることが多いです。一人暮らし向けのワンルームであれば3万〜4万円が一つの目安となります。1LDK〜2LDKなら5万円〜7万円、家族向けの3LDKであれば10万円以内が目安となるでしょう。
住民が住んでいる物件はやや高めに設定されますが、空室のハウスクリーニングはもう少し安くなるかもしれません。作業プロセスは依頼された内容によって異なりますので今回は割愛します。
ビルクリーニングの場合
ビルクリーニングの料金は対象となる場所の面積や頻度によって決まります。週1回の日常清掃であれば1万5,000円、2階であれば2万5,000円から3万円が一つの目安となるでしょう。実施には清掃スタッフの作業時間や作業箇所によって大きく変わりますので、詳しい金額は直接業者に問い合わせてください。
作業プロセスについてはどの事業者も大きく変わりません。清掃スタッフが契約した場所の清掃を行います。契約によって作業内容が変化しますので、こちらについても清掃業者に直接確認したほうがよいでしょう。
まとめ
今回はハウスクリーニングとビルクリーニングの違いについてまとめました。個々人の住宅で作業するハウスクリーニングは一人で作業することも多く、作業のバリエーションが多いのでなかなか大変です。ビルクリーニングは大型商業施設で行われ、作業内容もある程度決まっていることから作業しやすい仕事です。複数で担当するのが普通ですので、迷ったら働いている他のチームメイトと相談しながら作業できます。