住宅の清掃に欠かせないのが洗剤です。使用する洗剤は、使う場所や対象の材質、汚れの種類によって多種多様です。どのタイプの洗剤を選ぶと効果的、かつ、適切に汚れを落とせるのでしょうか。今回はハウスクリーニングで使用する主な洗剤の種類や洗剤の選び方、効果的な仕様ポイントなどについて解説します。
ハウスクリーニングで用いられる主な洗剤種類
住宅用洗剤は酸性洗剤、中性洗剤、アルカリ性洗剤、漂白剤、クレンザーの5種類に分けられます。それぞれの特徴を見てみましょう。
酸性洗剤
酸性洗剤とはpH(ペーハー)値6以下の洗剤のことです。pH値は数字が少ないほど酸性、多いほどアルカリ性を示します。ph3未満の洗剤はかなり強い酸性の洗剤だといえます。酸性洗剤はアルカリ性の汚れを落とすのに適しています。
具体的にはトイレの尿石、水回りにこびりつく水あか、浴室内の石けん汚れ、鉄サビなどの除去に向いています。酸性洗剤に長時間鉄をつけると腐食する恐れがあるので要注意です。また、塩素系の漂白剤と混ぜると有毒な塩素ガスが発生するので、絶対に混ぜてはいけません。
中性洗剤
pH6〜8の洗剤を中性洗剤といいます。酸性にもアルカリ性にも偏っていないため、肌や素材を傷つけにくいという長所があります。洗浄力は酸性やアルカリ性よりも弱めであるため、界面活性剤を含ませて汚れを落としやすくしています。界面活性剤は油汚れを浮かび上がらせる効果があるので油汚れの戦場に効果があります。
アルカリ性洗剤
アルカリ性洗剤とはpH値8以上の洗剤のことです。pH8〜11のものは、弱アルカリ性とよばれます。アルカリ洗剤は酸性の汚れに強く、皮脂汚れや食器の油汚れ、タバコのヤニ汚れなどを落とします。
アルカリ性が強い洗剤であれば、しつこい油汚れやシミを落とすのにも効果的です。洗浄力が強い半面、長時間使用していると皮膚や目に強い刺激を与えてしまいます。洗浄する素材を傷つけてしまう可能性もあるので注意しましょう。
漂白剤
漂白剤は、シミや汚れに含まれる色素を分解して、汚れる前の白さを回復させる洗剤です。大きく分けると酸素型・塩素型・還元型の3タイプに分けられます。最も効果が強いのは塩素系です。カビの除去などで使用するとよいでしょう。
塩素型より穏やかなのが酸素型です。それでも、油を除去する能力が高いため、頑固な油汚れを除去できます。還元型は鉄サビ汚れを落とすときに有効です。
クレンザー
クレンザーは、汚れを浮かしてとる界面活性剤と浮いた汚れを削り取る研磨剤を一定量含んだ洗剤です。漂白剤成分が含まれていないこともクレンザーの条件となります。漂白剤が少しでも含まれる製品は、クレンザーではなく漂白剤と表記しなければなりません。
研磨剤が含まれているため、かなり頑固な汚れでも落とすことができます。しかし、素材を傷つけてしまう可能性が高いので、使用場面は限られます。
効果的な洗剤の選び方
洗剤にはさまざまな種類があり、得意不得意があるとわかりました。ここからは、汚れの種類に応じた洗剤の選び方を解説します。まず、どのような汚れかわからない場合、最初は中性洗剤を使うのがおすすめです。素材に与えるダメージが少なく、失敗する可能性が低いからです。
中性洗剤で落ちない汚れは酸性かアルカリ性の洗剤を使用します。大まかにいえば、皮脂・手垢・油汚れ・食べこぼしなどはアルカリ性洗剤の得意分野です。一方、酸性洗剤が得意なのは石けん汚れや水あか、カルキ、アンモニア臭、尿石といったアルカリ性の汚れです。
要するに、アルカリ性の汚れには酸性洗剤を、アルカリ性の汚れには酸性洗剤を使用すると効果的に汚れを落とせます。漂白剤が得意なことは文字通り白くすることです。衣類についた色素を落としたいときに効果的です。
ただし、漂白剤は素材によって使用できないこともあります。選択表示を見て、酸素系・塩素系のどちらが使用できるか、あるいは、どちらも使用できないかについて調べてから使いましょう。クレンザーを使うのは、汚れを削り取りたいときです。水の溶けない汚れや頑固な焦げ付きを落とすのに向いています。
効果的に使うポイント
洗剤を効果的に使うポイントは、正しく使用することです。洗剤は使う量を増やせば汚れが落ちやすくなるというわけではありません。汚れに適した洗剤を選ぶのはもちろんのこと、水拭きを徹底したり、洗剤の濃度を適切に調整したりすることで洗剤の効果を高められます。
洗剤と水を混ぜたものをキッチンペーパーに吸わせ、汚れの上からかぶせる方法も効果的です。この方法を使うと洗剤が汚れに浸透するため洗浄効果がアップします。また、メラニンスポンジなどを使うことでも洗剤の効果をアップできます。
まとめ
今回はハウスクリーニングで使用する洗剤の特徴や効果的な洗剤の選び方、正しい洗剤の使用法などについて解説しました。酸性汚れにはアルカリ性洗剤、アルカリ汚れには酸性洗剤といった基本をしっかり理解し、汚れに最も効果のある洗剤を選ぶことで、洗浄効果を高められます。